「ルックバック」ポスタービジュアル (c) 藤本タツキ/集英社 (c) 2024「ルックバック」製作委員会
藤本タツキさんの映画「ルックバック」を見てきました。
漫画は持っており、絵を描くことが好きだった人や、ものづくりに関わる人には、とても共感できる部分が多い作品かと思います。
映画館で見るような映画ではないのかな、と思っていたのですが、見に行く機会を得たので、劇場で見ることになりました。
感想は、いろいろなレビューがありますが、自分としてはとてもよく、漫画では涙が出るようなことはなかったのですが、映画では演出が素晴らしく、涙が溢れました。
もともと、悲しい部分のある内容なのですが、原作の雰囲気を壊さず、なおかつ、鑑賞者が受け取るであろう感情を理解した上で、丁寧な演出がされていました。
映画館で見ることで、物語への引き込まれ方が強く、キャラクターの性格がより細やかに表現されており、感情移入しやすいものになっていました。
内容については、触れないでおきますが、絵を描くことが好きだった人の多くが経験するであろう、周囲からの言葉や反応、自分自身を見つめる姿、誰にも認められない中、たった一人の人に認めてもらえた時の嬉しさなど、シンプルに共感できる部分が多くあると思います。
年齢を重ねていったとき、お互いの道を歩む中で、連絡を取り合うことは少なくなったけれど、いつも心の隅にいる仲間の死を経験することがあると思います。
それでも、やはり孤独と共に、ものを作り続けていく気持ちに、なんとも言えない共感を感じます。
上映時間は58分。短いようですが、そもそも、漫画のボリュームがそれほど大きくないので、ベストな時間だと思います。
また、エンドロールそのものが演出になっており、やはりスタッフの皆さんが、原作を尊重している姿勢を感じられます。
演出は、過度なものでなく、作品そのものに敬意を感じられるようなもので、派手な映画演出があたりまえになっている中で、映画のあり方として、一つのスタイルを示しているような気がします。
こちらはコミック版。
こちらはKindle版。